確率

サイコロ

未破裂脳動脈瘤の年間破裂率がおよそ1%とか、破裂してくも膜下出血になると約半数が死ぬか障害を負うとか、開頭クリッピング手術の合併症(後遺症)発症率が5%とか、そういうことが気になり始めると気になってしょうがない、という人もいると思う。

その数値はどれくらい間違いないのか

こういう数値に意味がないとか信憑性がないとは言わない。ぼくは確率論や統計学の専門家でもない。だけどこれらはあくまで参考程度のもので、これに必要以上に囚われたり気に病んだりするのはよくないと思っている。

破裂率について言えば、同じ年齢、同じような身体的特性、未破裂脳動脈瘤発覚までの生活環境や生活習慣、未破裂脳動脈瘤発覚後の生活環境や生活習慣、同じ発症部位、同じような大きさ、同じような形状、などなどの条件で100人集めて1年間何の処置もせずにいたら1人が破裂しました、というのであればまだ多少納得はできる。

合併症発生率についても、同じ年齢、同じような身体的特性、未破裂脳動脈瘤発覚までの生活環境や生活習慣、未破裂脳動脈瘤発覚後の生活環境や生活習慣、同じ発症部位、同じような大きさ、同じような形状、同じ術式、同じ執刀医、などなどの条件で100人手術したら5人に合併症が発生しました、というのであればまだ多少納得はできる。

でも現実的に、そういう「限りなく同じサンプル・限りなく同じ条件」で調査するのは不可能だ。

発症・発生には実にさまざまな因子・変数が関係しているので、少なくともサンプルの属性や代表性、サンプル数が揃っていないとその数値がどこまで正確で信頼できるかということがわからない。

平均値であればなおさらだ(平均値にはワナがある)。

ネガティブ・ターゲット・フィクセーション

「ネガティブ・ターゲット・フィクセーション」という言葉がある。

何か危険なこと(もの)があってそこだけは避けようと思うのだが、かえってそれに意識が集中してしまい、結果それにはまってしまうことだ。

未破裂脳動脈瘤や手術の場合、それをどう意識しようと、破裂するかしないか合併症が起きるか否かといった結果を自分で確実に選ぶことはできない。
破裂やそれによる死などの可能性は否定できないし、破裂するのかしないのか、いつ破裂するのか、といったことは誰にも予見できないし断言もできない。それは事実だ。

だからこれは最終的な結果まで含めれば「ネガティブ・ターゲット・フィクセーション」だとは言えない。

でも、処置前にそういうリスクやリスクの確率にばかり目が向いてしまうと相当なストレスになってしまう。意識が「破裂」とか「死」とか「生」とか「命」とか「障害」とか「後遺症」とかに支配されて恐怖感が強くなっていく。

気にしない

だから繰り返しになるけれども、

  • 放っておくと破裂率は高まる可能性がある
  • 手術では合併症(後遺症)が起こり得る

ということだけを覚えておいて、1%だとか5%だとかはあくまでひとつの知識として頭の片隅に置いておくだけのものにするのがいいと思う。

「確率」への4件のコメント

  1. 1
    SHU says:

    この投稿を読んだときから腑に落ちないことがあってずっと考えていました。
    瘤が見つかった直後、長年お世話になっているホームドクターにその不安をぶつけたら
    いわく「交通事故で毎年どれだけの人が亡くなったり重症負ってるか知ってる?その確率に比べれば破裂率だの、後遺症率、なんて微々たるものだよ。そんなこと心配するほうが無駄」
    きっと正論なのですが、どこかで「いや、違う、これは交通事故なんかと同じ土俵で比べるものじゃない」とずっと思っていました。

    交通事故って万人に平等に起こりうることで、瘤は限られた人にしかふりかからない不平等感があるからなんでしょうか・・・

    筆者さまはどう思われます?まだ、あのセリフが残っていて論破できなかったのが悔しいですww(医者相手に何やってんだかw)

    • 1.1
      筆者 says:

      んー、ぼくはそのお医者さんの理屈にはほぼ同感ですね。
      納得してしまうかもしれません。
      未破裂脳動脈瘤も誰にでも起きうるし破裂も誰にでも起きうることだと思いますし、そうすると交通事故と同じようなもんかなあと。
      危ない場所だとわかっていれば用心するという点でも。
      未破裂脳動脈瘤があろうがなかろうが、人間いつどこで死ぬかわからないと思いますしね。

      • 1.1.1
        SHU says:

        筆者さまみたく経験者がおっしゃると説得力ありますね。

        まだ交通事故にあってない状態で、自分が遭うかもしれない(=まだ確定じゃない)交通事故の確率と、すでに瘤をもっている状態(=リスク可能性は確定)を比較対象にされたことに、何だかなー、先生瘤もってないじゃん?って思ったんだと思いますw(これじゃ感情論で論破どころの話じゃないですね (^_^;))

        ただ、私も確率に関しては振り回されないほうがいいと思っています。

        > 破裂率について言えば、同じ年齢、同じような身体的特性、
        > 未破裂脳動脈瘤発覚までの生活環境や生活習慣、未破裂脳動
        > 脈瘤発覚後の生活環境や生活習慣、同じ発症部位、同じよう
        > な大きさ、同じような形状、などなどの条件で100人集めて
        > 1年間何の処置もせずにいたら1人が破裂しました、というの
        > であればまだ多少納得はできる。

        このくだりを読んでて、確率の不安を別件確率で論破しようとしてきた瘤未所持者の言葉に違和感を覚えたのかもしれません。
        このように瘤に限って論破されたら納得してただろうなと思います。

        くだらない「心理」にお付き合いくださってありがとうございます(;’∀’)