未破裂脳動脈瘤始末まとめ

山頂でもの思いにふける男性

これまで経過観察中のこと入院中のことについては都度まとめ的な投稿を書いてきました。
手術を終え(未破裂脳動脈瘤を始末し)退院1週間後(術後2週間後)の検査でも経過が順調であることが確認された今、これもひとつのピリオドなので簡単に振り返りつつ一旦締めにしたいと思います。

観念篇

未破裂脳動脈瘤は自分にとって何だったか?

できれば別のかたちで伝えてほしかったがw

メッセージだと思います。

健康に少しは気を配れや、お前このままだと早晩死ぬかもよ?という肉体からのメッセージだったと思っています。

そして偶然のように脳ドックを受けなければそのメッセージは受信できませんでした。

実際、脳動脈瘤があったこと(と喫煙)以外はむしろ健康にすらなったわけです。
また病気は早期発見が重要だということを教えてくれたのも未破裂脳動脈瘤でした。
未破裂脳動脈瘤への対処はダイエットのモチベーションでもありました。

いろいろ調べたか?

情報も多ければよいというものでもない。

そうでもありません。

未破裂脳動脈瘤に関する医学的な情報や病院や医者の情報などはほとんど調べていません。書籍や雑誌も買っていないし論文も読んでいません。
調べたのは、経験者本人しか知り得ない術後の経過などについてのみ。特に職場復帰までに要する日数。ほとんどそれだけです。
「開頭クリッピング手術ではどれくらい仕事を休まなければならないのか」が最大の関心事でした。

お医者さんが発信する情報も大事だがそれは主治医と話をし主治医に訊けばいい、医学的な話(質問)については主治医との信頼関係を築くための手段として使うほうがいい、そういう情報を調べるのは主治医が言っていることが正しいかどうかの(ある程度の)裏付けをとるためくらいでいいと思っていました。

実際のところ未破裂脳動脈瘤や術式について知っておくべきポイントは限られているし、情報量が多ければ多いほどノイズも混じりやすいし迷いも生じやすいと思います。

なんかもうちょっと調べてたらもう少しお役立ち情報が提供できてこのブログももうちょっと実のある内容になったのでしょうが、手術日を決めるまで未破裂脳動脈瘤にそれほど関心は無かったです。第一忙しくてそんな未破裂脳動脈瘤ごときに拘ってばかりもいられませんでした。

悩んだり迷ったりしたか?

行きつく先、やるべきことは決まっているので、迷ったり悩んだりすることはなかった。

これは全く否です。

そのまま天寿を全うしたかもしれませんが、くも膜下出血の可能性はあり、それを回避し正常な生活を維持するための確実な手段が開頭クリッピング手術しかない以上、それを選択せざるを得ません。

また幸運にも重要なポイントで選択肢は常にひとつしかなく、楽チンでした。

  1. 手術をした病院は脳ドックを受けたところでかつ信頼できる病院であり、脳動脈瘤の状態から最早セカンドオピニオンも不要。病院選びをする必要がなかった。
  2. 7mmという脳動脈瘤の大きさや形状と年齢から、いずれ手術しなければならないと決まったようなものだった。つまり手術をするべきか否かに悩む余地はなかった。
  3. しかし手術をするタイミングをどこでどう確保するかが問題だったことから、早期手術か経過観察かで悩む余地はなかった。
  4. 脳動脈瘤の大きさと形状から開頭クリッピング術しかないという主治医の所見であり、ふたつの術式についていろいろ調べたり悩んだりする必要がなかった。
  5. 2018年前半に手術すると決めたら、諸般の事情により手術日は2月上旬しか選びようがなかった。

不安になったり落ち込んだりしたか?

からまった鎖を前に考える男性

できてしまったものは仕方がない。悩んでも治らない。

不安が全くなかったかというとウソになりますがほぼ否です。

いつ破裂するかわからないことは事実でこれを否定することはできませんが、未破裂脳動脈瘤があるからといって死んだり障害を負うことが決まったわけではありません。

年間破裂率が1%だとします。クモ膜下出血を発症するとその死亡率は30%といわれているようです。1%のさらに30%だから、単純計算だと未破裂脳動脈瘤持ち100人のうち死亡する可能性はわずか0.3人に過ぎません。
したがっていささか乱暴な言い方ですが未破裂脳動脈瘤の存在自体は死とほとんど直結しません。
よって死への恐怖もほとんどありませんでした(ゼロだったとは言いません)。

それに、何年も、いやもしかすると十年以上かけてここまで大きくなった未破裂脳動脈瘤がこれまでの不摂生不養生にもかかわらず破裂していないことから、生活習慣を改善すればそうそう破裂しないという変な確信がありました。

今だから言えるのかもしれないし何の保証もできないけど、ぼくみたいな状況で発覚後2年間破裂しませんでした。

また発覚後改めて行ったMRI/MRA後に主治医と話をした時点で、ひとまず経過観察とするがいつか開頭クリッピング手術を受けること自体は決めていたので、あとはそれまでどうしのぐか(血圧を下げ血液を健全化する)を考え、実行するだけでした。

闘病だったか?

脳動脈瘤というボールをうまく転がしてしのいでいくこともできる。

全く否です。

未破裂脳動脈瘤が発覚して手術を終えるまでの約二年間、これと闘った意識も記憶も全くありません。

流石に手術後のICUでは甚だ辛い思いをしたし術後の頭痛や眼底痛や頭の異音には悩まされもしましたが、それらはすべて「処置後の」「処置に付随する」「一時的な」「耐えかねるほどのものでもない」「身体的苦痛あるいは不快感」という「状態」の話であって、終始一貫して未破裂脳動脈瘤とは闘ってはいません。また闘う必要もありませんでした。「闘う」といえば聞こえもいいし勇ましくもありますがそんな意気込みは要りません。

もし闘う必要があるとすれば、闘う相手は自分自身の精神でしょう。

上述の通りぼくには何故かよほどのことがない限り破裂しないという根拠なき確信(だって今まで一度も破裂したことがないw)があり、手術可能なタイミングが来るまではその「よほどのこと」が起きないようにできる努力をしていくまでのことと決めていました。

要するに未破裂脳動脈瘤のご機嫌とりをしたに過ぎません。それは闘いではありません。

そういえばどうでもいい話だけど、好奇心からエントリーしたポピュラーなふたつのブログランキング、ちょっと違うよなと思いつつ「闘病記」のカテゴリーにもエントリーしてました。
でも手術を終えて退院してみてもやっぱりこれっぽっちも闘病ではなかったので「脳・神経・脊髄の病気」のみのエントリーに変更しました。

手術は何だったか?

不安定な綱渡り状態から確かなステップに進むための手段でありプロセス。

積極的解放策。

言うまでもありません。
一生破裂しないかもしれないが今この瞬間にも破裂するかもしれない可能性およびそれによって生じるさまざまなリスクと共にあるという呪縛から自分や妻を解放するに最も有効な、そして唯一の手段です。
ただそれだけのことです。
それ以上でもそれ以下でもありません。

手術は怖かったか?

これが一番怖い。だからそうならないようにする。そのために必要なら手術はそれほど怖くはない。

意外にそうでもありませんでした。

正直、半世紀ほどその大半を無駄に生きてきて初めての外科手術が脳みそをほじくる手術というのは勘弁してもらえるものならそうしてほしかったですが仕方がありません。

手術をすると決めた時点で腹は括っているのであとは主治医を信頼するより他ありません。手術中はどうせ何もわからない状態です。そのことを気に病んでもしょうがないです。

幸い、開頭クリッピング術は言わば「枯れた(歴史があり信頼性の高い)」技術です。またこれも何の根拠もないのですが、自分の脳動脈瘤については合併症(後遺症)のリスクは極めて低いと考えていました。

それに主治医のことはなぜか信頼していました。

最も恐ろしいのは「未破裂脳動脈瘤があることに気づかずある日突然くも膜下出血を発症し死ぬか障害を負うかして周囲に多大な迷惑をかけること」です。
そのことを考えれば、多少のリスクや痛みは致し方ないです。

補足です。

開頭手術に対する不安や恐怖について掘り下げが少し足りないかなと思ったのでこの手の投稿をしつこく書いてみる。脳動脈瘤破裂に対してではなく、開頭手術に対する不安や恐怖について。

これまで何度か書いたことの繰り返しにすぎないようなものになってしまいましたが。

手術の合併症への不安、手術の恐怖感は当然あるがそれは致し方ない。腹をくくるしかない。破裂の不安や恐怖はそれほどでもない。なぜなら破裂させないための対処をしているし、するから。
未破裂脳動脈瘤が見つかっても突然の破裂にみまわれることを考えればむしろ幸運、対処する機会に恵まれたということ。慌てることはないし悩んだり落ち込んだりしないことが大事なんじゃないか。
ぼくは基本的にネガティブ思考の人間だけど、未破裂脳動脈について言えばこれが何故か不思議とネガティブではない。リスクは最小限にできる・回避できると思っている。要は捉え方の問題か。
年間破裂率がおよそ1%とか、くも膜下出血では約半数が死ぬか障害を負うとか、手術の合併症発症率が5%とか、そういうことが気になってしょうがないという人もいると思うけれども・・・

行為篇

続いて、未破裂脳動脈瘤があることがわかって以降、どう対処したかについてまとめてみます。

経過観察中(発覚~手術日決定)

達成感のイメージ

経過観察中の2年間でマイナス12kgのダイエットに成功!

破裂危険因子である血圧血液血管の改善に注力しましたが、やったことは食生活の改善(制限ではない)のみ。
それがダイエットに繋がり、スリムになっていくことがむしろ楽しかったです。
あと睡眠時無呼吸症候群への対処がありました。
それ以外には気温の急激な変化による血圧の急上昇急降下を起こさないよう留意しました。
禁煙は試みてあっけなく挫折。
それだけです。
結局タバコも吸い続けたし、特に運動もしなかったし、普通に仕事したし、クルマの運転もしたし、飛行機乗って旅行もしたし、それまでの日常と変わらない生活を送りました。

手術日決定~入院

靴ひもを結ぶ男性

いよいよだなと思う一方で、比較的淡々と準備する自分がいました。

ブログを書こうと思い立ち、書き始め、気分も盛り上がってきましたw
入院の準備(仕事の段取り的なことも含む)を始めました。入院中にどんなものがあると便利なのか、何を持っていこうか、なんていうことを調べたり考えたりするのはちょっと楽しかったです。
生活習慣は経過観察中と何も変わらず。
どうせもうすぐ手術なんだから今さら禁煙する意味ないなんて不適切なことを考えていましたw
いろんな準備に忙殺されるかなと思ったけどそうでもなかったです。

入院中

点滴のイメージ

入院中の経過が順調であったことで退院後調子に乗ってしまった感もなきにもあらず。

できるだけ早く退院してやる!と思っていたので、できるだけメシを食い、できるだけ寝ようとし(がそんなに眠れなかった)、できるだけ動き回りました。
ICUを出てからもいろいろしんどかったこともありましたけど、インフルエンザほどのきつさはありませんでした。
タバコは吸わなかったですw
それだけです。

退院後

陽が差す空

意外にも、未破裂脳動脈瘤を始末した!という特別な感慨はなく。

メシを食い、できるだけ寝て、入院前と同じ程度に動き回っています。
周りからはあまり調子に乗るなと言われますがw
タバコも吸い続けてるし、特に運動もしてないし、普通に仕事してるし、クルマの運転もしてるし、それまでの日常とたいして変わらない生活です。
それだけです。


「何をしたか」っていうことで言うと特別なことは何もやってないんですよね、ほんとに。
何かに苦労したとかこれが大変だったとか遺言書を書いたとか夫婦で真剣に話し合ったとかさめざめと泣き合ったとか、そういうドラマチックなことが全然ないんですよ。

感想

こうして終わってみれば、事前に考えていたよりはるかにたいしたことなかったです。

でもそれは幸運だったからであり周囲の理解と協力があったから
そのことは忘れまいと思います。