前向きのロジック、不安のエネルギー

昔、あるダイエット本に「太る人は太るための努力をしている。その努力を止めるだけで痩せる」という記述がありました。
なるほどね、興味深いものの見方と表現だなと思ったものです。

さて、今回は珍しく書くかどうか迷いました。書いてからも表現に迷い、公開するかどうかも迷いました。これまで書いたことの焼き直しもいいところだし。

でも、これはこのブログの最大のテーマなので、公開します。

この投稿の内容は、何も説得しようということではないのですが、「かなりのお節介」です。
もしかすると「少々上から目線」かもしれません。

そんなに高い割合でそんなに大きなショックを?

こんなページを見つけました。内容の一部を引用します。
太字部分は筆者(ぼく)によるものです。

未破裂脳動脈瘤が発見された方のほとんどは精神的に動揺されて不安定になります。
不眠となったり、職場で仕事が手に着かなかったり、会議に集中できず人から注意されることも多くなったりします。
家族との関係もぎくしゃくし、酒量が増えたり睡眠薬が必要になったりと、それまでの生活に変調を来します。
外来で医師から説明を何度も受け、自分なりに納得しているつもりでも、突然破裂する恐怖感にかられることもあります。
経過観察中の不安感も強く、破裂する恐怖と手術した場合の合併症の出現に悩み始めるとますます眠られなくなる、と多くの方はおっしゃいます。

亀田メディカルセンターのWebサイトより

そうした人たちの未破裂脳動脈瘤の発症部位やタイプや大きさ、深刻度や緊急性などがわからないけど、そんなに高い割合でそんなに大きなショックを受けるということに驚きました。

不安になるのはわかります。不安になる人がいるのもわかります。それをディスるわけじゃありません。

でも、ほんとかな?ほとんどが?多くの方が?そこまでかな?と。

本当にそういうレベルまで不安になってしまった方には大変申し訳ないけども、ここに書いてあるほどのショックというのは、ちょっとにわかには信じがたい感じがします。

例えば大きさが10mmとか20mmとかを超えていて「こりゃ破裂してないことの方がおかしい」であるとか「膵臓がんステージ4で余命長くて2年です」とか言われたらぼくもそうなるかもしれないというかたぶんそうなるだろうと思いますが。

ぼくにも不安はあったけど

未破裂脳動脈瘤があることを忘れたことは1日たりともありません。

どこかにも書いたけど、「今この瞬間に破裂するかもしれないな」と考えたり、右側頭部に違和感があって「あ、これはもしかしたらやばいのかな?」と思ったことは何度もあります。

「死」ということを前提に「それがあった場合のことを考えて何か準備をすべきなのではないか」と考えたこともあります。

でもそれを考えてもどうしようもないというか意味がないというか。
割とすぐに考え方を変えました。
そうしたら気楽に前向きになりました。

脳ドックの結果について院長の説明を受けて、その後主治医の説明を受けて、破裂率だの破裂するとどうなるかだのどういう手術になるかだの、詳しい話を聞いたとき、「なるほど、そうですか、それはなんとかしないといけませんね、手術した方がいいですね」という感じでした。

思うに、不安が強い人は、数値に囚われすぎか、死とか後遺症といったネガティブなワードに囚われすぎなのではないかと思います。

確率を逆に捉えると?

未破裂脳動脈瘤の状態はとりあえず無視して確率だけの話をします。

最初に「年間破裂率約1%」と聞いて「たいしたことないな」と思って、その後しばらくして「100人に1人か、無いとは言えないな」と思いました。

でもそれは年間破裂率99%、つまりほとんど破裂しないということですよね。

もしその1%に当たっちゃったとして、その約3割が死ぬとすると、

くも膜下出血になっても生存率約7割ということですよね。

ていうかくも膜下出血にならないように気をつけて、治療するわけですね。
だからくも膜下出血の生存率云々ははとりあえず考える必要がない。考える意味がない。ならないようにするわけだから。

要するに未破裂脳動脈瘤があってもまあまずほとんど死なないということですよね。

それに未破裂脳動脈瘤の手術の合併症(後遺症)発症率が5%だとして、

それは95%は何も起きない、つまり手術は高確率で成功するということですよね。

合併症(後遺症)が残った場合のことはあえて抜きにして書いているけど、「死」に関して言うとそういうことでしょう?

だったら別にたいしたことないじゃん。

そもそも、1%だの約3割だの5%だのの数値がどこまで信頼できるのかという問題もありますね。これらの数値は結果論でもありますし。

蛇足ですが、例えば年間破裂率1%なら何年で何%になるか、といった計算をしてみるのは、自分の知的好奇心を満たすか、単なる暇つぶし以上の意味はないと思っています。

それがわかったからってどうなの?

できることは何だろう?

やりようによっては1%だの約3割だの5%だのは少しは下げられるんじゃないでしょうか。

破裂するかどうかも破裂のタイミングもわかりませんが、破裂する要因はわかっています。
ということは破裂させないための方法もわかっているということです。

冒頭の引用に書かれている「ひどいショックを受けた人たち」が、どんな破裂予防アクションを起こしたのかはわかりません。
破裂予防アクションを起こしてもなおひどい不安を払拭できなかったのかもしれませんが、そうなるとちょっとメンタルケアを受けるなどした方がいいのかもしれません。

繰り返しになりますが「今この瞬間に破裂するかもしれないな」と考えたり、右側頭部に違和感があって「あ、これはもしかしたらやばいのかな?」と思ったことは何度もあります。でもパニックになることはありませんでした。
何故なら、「そう簡単に破裂はしない」「破裂しないように(喫煙以外は)努力しているからなおさらそう簡単には破裂しない」と考えていたからです。

また上述のように、合併症発症率5%ということは、手術は極めて高い確率で成功するということになります。
でもそれでも、手術に対する不安を払拭するのはちょっと難しいかも、とは思います。
何故なら、破裂予防努力は自分でできるけど手術は他人に任せるほかないからです。

そこだけかな、問題というか不安材料があるとすれば。

でもそこは、信頼できると思える病院やお医者さんを見つけて、あとは開き直るしかないのかなと思います。
ぼくは「この先生とこの病院なら普通にうまくやってくれる。あとはなるようにしかならん」と思いました。

50歳を過ぎて生まれて初めての外科手術が開頭クリッピング手術なんてそりゃ嫌でしたけど。

前向きに捉えたら?

未破裂脳動脈瘤が見つかったら、たぶんですが、お医者さんは「見つかってよかったですね」って言うんじゃないでしょうか。
ぼくはそう言われたかどうか記憶が定かではありませんが、自分ではそう思いました。

たびたび書いているように、「知って何らかの対処をすることよりも、知らないままある日突然破裂する方が幸福だ」とはどうしても思えない、そういうふうには到底考えられないからです。

「未破裂脳動脈瘤が見つかった=くも膜下出血の恐怖に怯えなければならなくなった」

ではなくて、

「未破裂脳動脈瘤が見つかった=くも膜下出血を未然に防ぐ機会を得た」

ということだと思うんですけれども。

そういうふうには考えにくいでしょうか?
頭ではわかっていてもなかなか難しいものなのかもしれませんが。

不安というエネルギー

ぼくが思うに、不安になる人は「不安という名のエネルギー」を使ってしまっているんじゃないかと。あるいは「不安に対してエネルギーを使いすぎている」んじゃないかと。

「不安になれば問題が解決する」のであればエネルギーを使うのがいいと思います。

でもそうじゃありませんよね。不安になっても問題は解決しない。
だから不安エネルギーはエネルギーの無駄遣いだと思います。
またその不安エネルギーが周囲に伝播し影響を及ぼすこともあるでしょう。
だったらそのエネルギーを問題解決とその後のことに向けた方が建設的なんじゃないかと思います。

そうしないと、克服のためのエネルギーがなくなっちゃうよ。

「前向きのロジック、不安のエネルギー」への2件のコメント

  1. 1
    SHU says:

    >外来で医師から説明を何度も受け、自分なりに納得しているつもり

    納得できてないから不安になるんだと思います。
    少なくとも私はそうでした、一つ目のでっかい有名な総合病院で。
    みごとに不安を煽ってくれたというか、投げ出されました。

    この病院の名誉のためにもしあげておくと決していい加減な病院ではありません。
    症例件数が多くなりますと破裂の可能性が低い患者にはどうしてもそうなるのは致し方ありません。だって脳外科医的には、大した手術じゃないわけですから。
    大した手術じゃない、ということを納得しなければならないんです、患者は。

    経過観察を選んでもそんな簡単に破裂するもんじゃない、ましてや定期的に検査してもらえて、ちょっとでも怪しい症状が出たらすぐに見てもらえる恵まれた環境なんだということも納得しなければなりません(いきなりくも膜下出血して搬送される人たちは出血箇所を探すところからですもの)。

    結局、紆余曲折(セカンドはそういう意味で受けておりません)があって、画像診断をしてくれた今の主治医のもとに戻ったんですけど、それが結果的に
    「医師から何度も説明うけなくても納得できた」
    という結果を生みました。
    そして主人も毎回仕事を休んで一緒に話をきき、全面的にここで治療をすることを受け入れてくれました。これは結構大きいと思います。

    >エネルギーが周囲に伝播し影響を及ぼす

    まさにこれです。主人が不安をまき散らかしていたら私は穏やかではいられませんでした。

    筆者さまの体験記を拝読しておりますとすべて納得ずくめで進めてらっしゃいます。
    筆者さまのご性格もさることながらお医者様、そして奥様の存在もかなり影響しているのではないでしょうか。

    一般論にはならず、大変申し訳ないです。皆がみんな、同じ状況下ではありませんものね。

    長くなってすみません;;

    • 1.1
      筆者 says:

      >納得できてないから不安になるんだと思います。

      なるほどなと思いました。そうかもしれませんね。

      まあ、自分の場合は「病院も医者も商売ですから」というところも納得はしていましたね。
      幸い、病院にも主治医にもそうした商売っ気はありませんでしたけど。

      >お医者様、そして奥様の存在もかなり影響しているのでは

      はい、おっしゃるとおり、ここでも述べているように
      https://www.no-domyakuryu.jp/2018/02/16/2052/
      この妻、この主治医あっての今だと思っています。